「大好きです平和島静雄さん、と言う訳でコーヒー飲みたい」

「安いな、ていうかちょっと待て。どういう事だ」

「あれ、そこは流してくれないの？」

「流すかバカノミ蟲。説明しろ」

「え、だから、偶にはコーヒー飲みたいって思っただけだよ」

「そっちじゃねぇよ。ていうか手前紅茶しか飲まねぇんじゃねぇのかよ」

「紅茶派だけど、別にコーヒーに敵意があるわけじゃないよ」

「そうなのか。…じゃなくて、てめぇもっと大事な所を説明しろよ」

「紅茶かコーヒーかを差し置いて大事な問題なんて他にあるの？」

「ありありだろ、寧ろそこを説明しないのは間違ってる」

「間違ってるかどうかは人それぞれの判断基準に依る所が大きいんだよシズちゃん。君の基準を押しつけないでくれるかな」

「そりゃ悪かったな。で、どういうことだ」

「しつこいなぁもう。ちょっとその辺歩いて来なよ。三歩歩いたらきっとどうでも良くなるよ」

「鶏か」

「ていうか君にツッコミが務まるとは思わなかったよ。どういう風の吹き回しなのかな」

「さぁな。朝起きたらすごく頭が冴えてたんだよ」

「冗談はその膂力だけにしてくれないかな」

「抜かせ。散々言葉を覚えろだの頭を使えだの言ってたのは手前だろうが」

「ああ気にしてたの、そりゃ悪かったね。で、ちょっとそこのスタバで買ってきてくれたら良いからさ」

「気にするだろ普通。つーか、飲みに行くとかじゃなくて買ってこいって意味だったのかよ」

「まさかシズちゃんは俺とコーヒー飲みたかったの？」

「『そんなわけ有るか』って言って欲しいんだろうがそうは行くか。ああそうだよ、飲みたかったよ、手前と」

「うわめんどくさ、超めんどくさいなシズちゃん」

「手前にだけは言われたくねぇよ。で、正直に言ったんだから付き合えよ」

「えー」

「大人しくコーヒーぐらい奢られとけよ。俺は黙って見てるから」

「何それ意味がわからない」

「コーヒー飲みながらするような話なんて無いんだろ、どうせ。だったらお前が飲み終わるまで黙って待っててやるから」

「ココアぐらいしか飲めないくせにかっこつけんなよ」

「照れんなよ」

「……いい加減腹立ってきたな…」

「で、何が飲みたいって？」

「ホント死んでくれないかな…」

「ああ分かった分かった。いつかな」

「フードを引っ張らないでくれるかな」

「だって口で言ってる間に言うこと聞かないからだろ」

「そうやって直ぐに暴力に訴える。だから君は―――」

「何を飲むんだって聞いてるだろ」

「…高い奴。一番高い奴」

「味じゃなくて値段指定なのかよ」

「万年借金野郎にはそれでいいんだよ」

「足下見やがって」

「君に慣用句なんて高等なものが使える日が来ようとは夢にも思わなかったよ」

「おあいにく様だな臨也。散々手前に文句言われてたんだから言葉自体は知ってたんだよ、使わなかっただけで」

「使えなかったの間違いだろう」

「今日は使えるんだからそれでいいだろ」

「ああそう。あーあ、何が哀しくてこんな奴と一緒にコーヒーなんて啜らなきゃならないんだか」

「元はと言えばてめぇが…そうだ！　元はと言えば手前が聞き捨てならねぇ事を言ったせいじゃねぇか」

「…ちっ」

「今舌打ちしたな」

「気のせいじゃない？」

「そうかよ。つーか、物には言い方ってもんがあるだろうが」

「君がそれを言うかな」

「大体、何で急にフルネームなんだよ」

「聞こえてたなら、一々聞き返さなくてよかったんじゃないの？」

「『好き』ならまだしも、『大好き』ってそんなぞんざいに言うような言葉なのか」

「大好き？」

「何で疑問系なんだよ」

「DAISUKE！」

「それはちょっと違うだろ」

「だぁぁぁいすきぃぃぃ」

「微妙に有り難くない」

「ワガママにも程があるだろ…」

「良いじゃねぇかよどうせ今日ぐらいしか言わねぇ渾身のギャグだろ。もう少しサービスって奴を―――」

「…だいすき」

「…………」

「………………」

「……………………おう」

「いや突っ込めよ」

「なんでだよ」

「今のはどう考えてもツッコミ待ちだったじゃない。日頃ポンコツなんだから今日ぐらいうまくレシーヴしなよ」

「あ、いや…悪ィ」

「あ　や　ま　る　な　よ」

「じゃあ、ありがとうごさいました？」

「やめてよ、なんかそれはそれで間違ってる」

「難しい注文つけやがって…」

「そうだ注文。もう面倒だからさっさと飲んで帰る」

「別に一時間掛けようが二時間掛けようが俺は一向に構わねぇぞ」

「はいはい、そうですか」

「あ、手前そう言うこと言ってるとな」

「ほらシズちゃん、お金お金」

「ちっ…　あ、済みません俺コレで―――」

「うわー、やっぱり甘い奴だ」

「うるせぇな、手前のもじゃねぇかよ」

「俺はシズちゃんの懐を寒くできるなら何だって良いんだよ」

「つくづくムカツク野郎だな。けどさっきの一言に免じて許してやる」

「引き摺るなよ、くそ…」

「まぁたった420円で愛が買えるなら安いもんだろ？」

「死ねよシズちゃん」

「ほら、席探せよ」

「そういうところが『大好き』だよ全く」

「…………そうか」

「今の完全に皮肉だからね、皮肉だったからね！」

「おーおー、分かってる分かってる」









（420円で買える愛なんて安い物、本当に欲しいの？）











エイプリルフールです赦して下さいwwwwwww
言い訳するのも面倒なのでもういいやwwwwwww
2011/04/01