※口汚く罵っているようなピロートーク。…にしたかった。


little bit dirty mouth

「全くもう、最低だよ、最低。君ホント人として最低レヴェルだよ」 枕に顔を埋めて臨也は呪わしげに呻く。 「どこが」 煙を燻らせながら、静雄は隣でぶつくさと文句を言う臨也に問いかける。 ヘッドボードに身体を預け、ふう、と煙った息を吐く。 「どこが…だって!?冗談じゃないよ、反省する予定すらないのか」 きっ、と音がしそうな勢いで静雄を睨み付ける臨也。 どこかくたびれた―――それも、とても色めいたくたびれ方の声音。 「あ?…反省…反省なぁ…」 何かに思いを巡らせるように視線を彷徨わせる。 しかし、彼に思い当たる節は無かったようだ。 「わりぃ」 取り敢えず謝罪だけはしておくか、という姿勢である。 「…っ!そんなんだからまともな彼女の一人も出来ないんだよこの童貞野郎!」 ごす、と音を立てて臨也の拳が静雄の脇腹に入る。 しかし眉一つ動かさず、静雄はその手を軽く叩いた。 「こら。怪我すんぞ」 確かに、ごす、と音は鳴ったが、主にダメージを受けたのは臨也の拳の方である。 「うるさい、分かってる。ああくそ、ホントむかつく。死ねよシズちゃん」 枕を綿が出そうな勢いで抱き潰す。 お陰で彼の腰の辺りまでシーツがずり下がってしまっている。 「ていうか大体が粗暴なんだ。俺は君よりも随分と繊細に出来てるんだって何度言ったら解るんだよ早漏」 何を食べて生きているのかよく分からないその細めの体躯。 薄い背中に、所々鬱血の痕がある。 「男の俺でも瀕死なのに、女とかどうする気だったのシズちゃん。何?殺しちゃうつもりだった訳?」 それと、生々しい歯形。 「君の場合上手い下手以前に普通の人間の体力じゃないんだよ。ほんといい加減にしろ」 静雄は再度息を吐いた。 「お前これ…」 見るのも痛々しい痕に、空いた方の手を滑らせる。 皮膚が切れて血が滲んでいる。 「…なぁに。ちょっとは自分のやったこと思いだしたの?ん?」 臨也は枕から少しだけ顔を離して背中に触れる静雄を見上げた。 責めるような、呆れたような口調で静雄を揶揄する。 「いや…まぁ…」 静雄は自分が付けた歯形を、中指でそっとなぞってみた。 「ちょっ…馬鹿、まだ痛いんだって」 その手を払い除けようと臨也が身を捩らせる。 一瞬、目が合った。 じわりと涙が滲み出した目と、微かに熱を孕んだ目。 「…先に言っとく。これ以上は許さない」 枕を抱えてベッドの端へ後退する臨也。 「…先に言っとく。俺は今日休みだ」 煙草を灰皿で揉み消して、身を乗り出す静雄。 「いやいやいや。無いから。それは無いから。というか俺もう限界だから…!」 これ以上、退がれないところまで退ってしまった。 臨也は悲鳴のように抗議を口にする。 「いいやぁ臨也くーん、俺は十分反省したぞ。優しくするから、大人しく抱かれとけ?」 最後の方は臨也を両腕で押さえつけながら言う。 「悪い予感以外しないよシズちゃん」 引きつった笑顔で臨也は言葉を絞り出す。 「大丈夫だって。あと三回ぐらい付き合ってくれたらそれで良いから」 極めて明るい笑顔で静雄は獲物に手を掛けた。

ギャグばっかり書いてしまうこの神経。 2010/04/24