されど其れも是も愛

勘違いしないで欲しいんだけど、俺は決して欲求不満な訳じゃないからね。 いや、何、その疑いの目。 酷いなぁ。 …そんなんだからもてないんだよ。 いだ、いたたたた、ちょ、ほんとのこと言って何が悪いんだよ! で、話を戻そう。 シズちゃんの言い分ではさぁ、ほら、なんか俺が100%悪いみたいな話になってるじゃない。 違うからね。 最初に、シズちゃんが、悪さしたんだからね。 何だよ、そうだろ。 俺がもし幼女だったら大変なことになってたんだから。 シズちゃん、社会的に破滅だよ? 二度とお天道様の下に出られないよ。 …色んな意味で。 ―――そうだよ、確かに俺は幼女じゃないよ。 でもだからといって何もかも許される訳じゃないと思わない? ていうか、これ平気そうに見えてるならシズちゃんホント人として最低だよ。 痣だらけだよ、至る所が。 腕は当然のことだろうけど、足から首から…ああもう。 自分の馬鹿力をもう少しきちんと自覚すべきだよ。 こんなんじゃ彼女の一人もできやしな、 いたたたた、だから、痛いって! そうでなくても体中痛いのにこれ以上痛めつけるとか、シズちゃんの鬼畜、外道! え? ああ…まぁ、そりゃ否定しないけど。 う そ だ よ ! そんな訳無いだろ。 ていうか、普通に無い。 寧ろそれは気持ち悪すぎるだろ。 全力で否定しとくよ。 にしてもね、もうちょっとマナーって物があるでしょ? あれ、マナーとか解らない? じゃあ当然のことながら、常識もデリカシーもない? …そんな猛獣、野放しにしちゃ駄目だろ…。 いやいや、俺はとても上品だから。 は? …だから、それは違… あ、ちょっと、ま おい シズちゃ、てめ、 …! / いや、どう考えても今回のはお前が悪い。 ていうか、あんな物欲しそうにしてるのが悪い。 俺は、一切悪くないからな。 あ? 悪さ、ってなんだそれ。 いや、半分以上てめぇの責任だろ。 煽った方にも罪はある。 流石に幼女には手ぇださねぇよ。 ていうかお前は別に幼女でもなんでもないだろうが。 つーか、そんだけ文句言えるなら大丈夫だろうが。 あー…っててめ、いい加減にしとけよ? いや、でもお前痛い方が好きだろ? …え? ………てめぇも似たようなもんだろ。 ていうかお前、何? 誘うならもうちょっと上手に誘えよな。 違わねぇだろ、 だったら ちったぁ大人しくしてろ… / 信じられない。 有ってはならない。 「馬鹿じゃねぇの…俺…」 煙草臭いシーツを掴んで嘆く。 一晩中ここにいた自分も、当然煙草臭くなっていることだろう。 日々殺してやるだの何だの言っている相手に何だ、この様は。 色に溺れるとは情けない。 ていうか、もうちょっとましなチョイスは無かったのか、俺…。 「こんな男の何が良いかなぁ…」 極めて気の抜けた顔だ。 まぁ、あのとんでもない不機嫌顔でない分、まだしも見られた物である。 黙ってりゃ、それなりなんだけどな…。 頬に触れると、思っていたより少しだけ柔らかかった。 「…下らない」 頭を切り換えるべく吐き捨てる。 「そうかよ、だったらもう少し寝とけ」 いきなり声がして驚いた。 と同時に、あり得ない力で引き倒され、危うく腕を捻りかけた。 「ちょ、シズちゃん、いつ起きたんだよ」 「てめーが起こしたんだろうが。俺はまだ眠いんだよ」 強制的にベッドに横にさせられてしまった。 …今日の仕事どうしようかなぁ。 ぼんやりとそんな事を考えながら、極めて煙草臭い腕に抱かれていた。

きゃっきゃうふふは三段飛ばしだった様です。 シズイザはどんな進度でも美味しいです(笑) 2010/01/20